座標法と数式処理ソフト maxima で断面性能の計算式を求めるやり方を紹介します。
座標法でも 形状寸法を変数とすれば 計算式を 求めることができます。多角形に限られますが 積分をする必要はありません。
数式処理ソフトを利用すれば 多角形の頂点の座標を定義するだけで 断面積から主軸の角度まで算定することができます。いまのところ、円弧や放物線は 折れ線に置き換える必要があるのですが、今後の研究によって 合理的な手法が提案されてくると思われます。
多角形の断面性能の計算式は
となります。座標に数値を代入すれば 断面性能が算定できます。
ただし
座標 = [x1, y1], [x2, y2], [x3, y3], …, [xn, yn]
Ax = S, Ix = Jx, Iy = Jy, Ixy = Jxy
図心回りの2次モーメント
Ixc = Ix - Ax * gy ** 2
Iyc = Iy - Ax * gx ** 2
図心回りの相乗モーメント
Ixyc = Ixy - Ax * gx * gy
Xc軸からの主軸の角度 α
α = atan2(2 * Ixyc, Iyc - Ixc) / 2
Σ は i = 1, n-1
座標は閉鎖形の頂点でそれを結ぶ線が交差しないようにする
※参考文献
○材料力学本論 / 前澤・吉峯訳 / コロナ社 付録2 平面図形の諸元
○建造力学 / 谷口著 / 裳華房 第20章 断面の主軸
さて、今回は 木材や鋼材の呼称を座標がわりに使います。
ruby のスクリプトを使い、つぎの関数があるとします。
座標.a で面積
座標.gx, .gy で図心
座標.ix, .iy で図心回りの断面2次モーメント
座標.iu, .iv で図心回りの断面2次モーメント(主軸 u-v)
座標.xmax, .xmin, .ymax, .ymin で図心からの最縁端距離
座標.lr で周長
座標.jxy で図心回りの相乗モーメント
座標.rx, .ry で図心回りの断面2次半径
座標.ru, .rv で図心回りの断面2次半径(主軸 u-v)
座標.zx, .zy で図心回りの断面係数 [ix/ymax.abs, ix/ymin.abs], [iy/xmax.abs, iy/xmin.abs]
座標.alpha で図心回りの主軸の角度゚
area 座標 で return ax, [gx, gy], [ix, iy], [xmax, xmin, ymax, ymin], lr, jxy
平角 150x300 で(b=150, h=300)
呼称を座標のかわりに使うと、例えば irb -rjw で
のように処理できます。
細幅 H-400x200 なら (A=400, B=200)
呼称を座標のかわりに使うと
のように処理できます。
H鋼断面の座標で
2番目は [17.0, 174.0, 13.0, 90.0, 180.0, 1.0, 0.0]
9番目は [-17.0, 174.0, 13.0, 0.0, 90.0, 1.0, 0.0]
12番目は [-17.0, -174.0, 13.0, 270.0, 360.0, 1.0, 0.0]
19番目は [17.0, -174.0, 13.0, 180.0, 270.0, 1.0, 0.0]
となっています。これは円弧のデータで 位置(円の中心点)のほか円弧の半径と始角°、終角°、扁平比(短径/長径)、傾き°が追加されています。(JW_CAD 外部変形データの仕様)
座標法でも 円弧部分を適正に補正すれば正確な値を返すことができます。
木材や鋼材の呼称は、断面性能の計算にも使えることがわかりました。理論的には、どんなプログラム言語でもできそうですが、アイデアを試行錯誤しながら形にできるものでないと、発想できない気がします。プログラムの選択の自由は必要です。
次回は 呼称 を取り上げます。