ティモシェンコ梁とモールの定理(7) - 1端ピン他端固定 -

本稿は ティモシェンコ梁でも モールの定理が使えることを紹介します。

 

 

1端ピン他端固定は 残念ながら ティモシェンコ梁でモールの定理をうまく利用する方法をみつけられませんでした。

 

普通の梁は1端ピン他端固定でも モールの定理は利用できました。

 

 

本稿では 弾性曲線式を以下の解釈で扱っています。

 

 

今回は 1端ピン他端固定 を考えます。

 

普通の梁で考えます。

 



(8)~(11)式を 数式処理ソフト maxima で 解きます。

 

単純ばりで計算して、固定端モーメント分の曲げモーメントの荷重を補正して求めます。

 

つぎのプログラムを 400-7.bat で保存して実行すると

 

: 1端ピン他端固定のモールの定理
@echo off
path C:\maxima-5.47.0\bin;%path%
ruby -x %~f0
pause
goto:eof
#!ruby
f = open "| maxima --very-quiet", "w"
f.print <<~Maxima
C: w * L^2 / 8$
m : w * x * (L - x) / 2$
  Q: C1 - integrate(m, x)$
  M: C2 + integrate(Q, x)$
  [Q, M]: ev([Q, M], solve([ev(M, x = 0) = 0, ev(M, x = L) = 0], [C1, C2]))$
Q: Q - C * (L^2 - 3 * x^2) / (6 * L)$
M: M - C * x * (L - x) * (L + x) / (6 * L)$
  print("T =", string(factor(Q)))$
  print("V =", string(factor(M)))$
  quit()$
Maxima
f.close
__END__

 

計算結果は

となります。

 

 

曲げモーメントを荷重として 解きます。



たわみが 数式処理ソフト maxima の結果と微妙に違っています。中央部は一致するのですが 原因がわかりません。maxima の結果は 弾性曲線式を解いた結果と一致するので 正と考えています。

 

 

冒頭でもいいましたが

1端ピン他端固定は 残念ながら ティモシェンコ梁でモールの定理をうまく利用する方法をみつけられませんでした。できると踏んでいたのですが、もうすこし考えてみようと思います。

2023/11/24 補足訂正

1端ピン他端固定でも ティモシェンコ梁でモールの定理は利用できました。

以下の内容を訂正すればせん断変形に対応できます。

(1) 固定端モーメントはせん断変形を考慮すること

C: w * L^2 / (8*(3*__g__+1))$ /* __g__ : κ * EI / GA / L^2 */

Q: Q - C * (L^2 - 3 * x^2) / (6 * L)$
M: M - C * x * (L - x) * (L + x) / (6 * L)$

(2) 曲げモーメントによるせん断変形の追加は単純ばりのモーメント分布とすること

  M: M + (m - ev(m, x=0)) * κ * EI / GA$

 

 

次回は あとがき です。